千曲市(ちくまし)は、長野県の北部、北信地方の千曲川中流域に位置する人口約6万人の市。
旧・埴科郡戸倉町と更級郡上山田町は全国的に戸倉上山田温泉として知られ、善光寺詣りの精進落としの湯として明治期の開湯から100年余りの歴史を有する名湯の地。
旧・更埴市は、古墳時代には科野国造が置かれた地域と推定され、科野国の豪族の墳墓とされる東日本最大級の前方後円墳である森将軍塚古墳(有明山)を含む埴科古墳群を有する。また、江戸期の善光寺街道最大の宿場町として、また明治期に北信地方随一の商都として栄えた稲荷山宿があり、事実上の北国街道と北国西街道の合流点である。さらに善光寺街道から谷街道(北国街道の脇道松代道)が分岐する交通の要衝であった。現在も長野自動車道と上信越自動車道の合流点である更埴ジャンクションが置かれている。他に江戸期の松代藩により植えられた杏林がある森地区は「あんずの里」として知られ、南の冠着山(別名「姨捨山」)は、古今和歌集(905年序)の和歌にも登場する平安時代からの名勝地で、深沢七郎が楢山節考(1956年)の基とした姨捨伝説の地と伝えられる。