1981年、埼玉県生まれ。20代でカメラマンを志してアパレル業界転身、専門学校を卒業後にスタジオアシスタントおよびカメラマンとして経験を積み、2013年にフリーとして独立。
雑誌、各種ファッション系ECサイトの撮影や企業プロモーション関連の撮影を数多く手掛けるプロカメラマン。
高校のときから写真が好きで、よく外に出かけて風景を撮っていました。ただ、それを仕事にしようとはまったく思ってなくて、洋服が好きだったことからアパレル会社に就職してショップの店員をやっていたんです。でもお店の売上や営業成績に縛られることに次第にストレスを感じるようになり、本当に自分のやりたいことを仕事にしたいと思ったのがきっかけでした。
そんなとき、ショップに置いてあった雑誌を見て、衝撃を受けました。載っていたアパレルファッションの写真が目に入って、「これ撮った人、すごい!」って思ったんです。それがのちの師匠になるのですが、絶妙な光の入れ方で、モデルさんと洋服が何ともいえず魅力的に輝いていました。写真って、自分の工夫ひとつで撮り方、写し方が変えられる。光の当て方やレンズの選択でいろんな表現ができると知って、一気に写真の世界に惹き込まれていきました。
自分もこんな写真を撮って、多くの人に喜んでもらったり、感動を与えられたらいい。そう思って「カメラマンを目指そう!」と決めたのですが、親に話すと大反対で。けっこう大手のアパレル会社に入っていたので、「安定した収入を捨てて不安定なカメラマンなんて!」って(笑)。でも迷いなく、すぐに行動に移すことにしました。
カメラマンは簡単な世界じゃないですし、基礎からやらないとダメだろうと思って、最初に専門学校に入りました。バイトしながら夜間に通って1年くらい勉強。そのあと、出版社系のスタジオに入ってスタジオマンとして経験を積んでいたとき…。あの雑誌の写真を撮った“師匠”が、アシスタントを募集しているという広告を目にしたんです。
もういてもたってもいられなくなって、「勉強させてください!」と師匠にアタックしました。ところが返ってきたのは、「男でなければダメだ」という返事。撮影は泊まりのロケも多く、女性だと別々の部屋を取らなくちゃいけないから…という話でした。
そんなとき、所属しておられた男性のアシスタントが家庭の都合で辞めなければならなくなり、急きょ補充が必要になる状況が生じたのです。師匠から、「ちょうど枠が空くけど、アシスタントにつく?」と連絡をもらい、もちろん「行きます!」と即答しました。ちなみにロケの泊りでは、部屋は別々にしてくれましたよ(笑)
師匠からは、フリーとして独立するまでの約2年半年間(スタジオマンと合わせて5年の下積み)、いろんなことを学びました。ライティングの選び方や当て方、太陽光の取り込み方なんかもそうです。もともと雑誌のアパレルファッションの案件が多かったから、モデルさんの衣服がより引き立つための様々なスキルを教わりましたね。
そうした技術的なことももちろんなのですが、一定のスキルやノウハウが身に付いてからは、カメラマンとして大事にすべき「人とのつながり」といった部分を教えてもらったのが印象に残っています。お客様はもちろん、編集者やライターさん、スタイリストさんなど周りの人とのつながりをどれだけ持てるか。仕事は1人ではできないし、人とのコミュニケーションや関係性を大事にすることが、カメラマンとしての良い仕事につながっていくことを学べたのは大きかったです。
ファッション関連のECサイトでの人物撮影が6割くらいを占めているでしょうか。そのほか一般企業からのご依頼も数多くお受けしていて、求人やブランディングを目的に職場や社員さんを撮影する案件もコンスタントに行っています。私自身、会社に入ってのデスクワークは経験したことがなかったので、企業からのご依頼で社内に出向いて撮影するのは新鮮で楽しいですね。
お客様が何を形にされたいのか、撮ってほしいイメージを聞くことは大事にしています。事前のメールなどのやり取りでそれをうかがった上で、当日すり合わせをしながらご要望に応える撮影をするよう心がけています。お客様からのリクエストに応じるなかで、現場で自らディレクションをさせてもらうこともありますね。
また撮影現場の雰囲気ってすごく大事だと思うので、場のつくり方には気を配るようにしています。特に企業のお客様だと、社員の方が撮影前に緊張されていたりするので、雰囲気を和らげるためのお声がけやムードづくりは大切にしたいです。
そしてお客様とのやりとりでは、「即レス」を重視すること。メールだけの関係性ではこちらの人となりがなかなか伝わりませんから、最初に信頼をいただけるような対応やコミュニケーションを取るよう心がけています。現場で安心して「お任せします」と言っていただける関係性を作れるよう向き合っています。
うまく光や表情などが掛け合わさり、良い写真撮れたな…と感じるときはうれしくて、ずっとその写真を見ていたりしますね。自分が良いと思う感覚がお客様と一緒だったらいいなと思いますし、それが合致して喜んでくださったときにはとてもうれしいです。
いずれは動画の撮影、編集までこなせるようになって、お客様からのご要望に応えられる仕事の幅をさらに広げていきたいと思っています。そして、自分が雑誌の写真を見てその師匠に憧れたように、見た方の印象に残るような写真を撮っていきたいという思いが強いですね。コミュニケーションを大事にお客様の想いをしっかりとお聴きして、そんな写真を数多く提供できるよう頑張っていきます。
人とのご縁やつながりを大事にしつつ、見た方の印象に残り続ける写真を撮りたいと思っています。アパレルファッション系の人物や衣服の写真を得意としているほか、企業や店舗などへの出張撮影を数多く手掛けています。撮影時の雰囲気づくりに気を配りながら、自身でのディレクションを含めてスムーズに現場を進めていけるよう努めます。ロケや人物撮影、コーポレート撮影や商品撮影など何でもご相談ください。
取材・文.栗栖直樹