企業ホームページに掲載する写真素材の撮影方法と撮影依頼
How to take photos for corporate website and request for photo shooting

企業ホームページに掲載する写真素材の撮影方法と撮影依頼

 今やホームページ(ウェブサイト)には欠かせない写真素材の撮影方法やプロカメラマンに撮影依頼する際、気をつけたほうが良い点を解説します。また、こちらで案内をする内容はホームページ撮影だけではなく、類似する求人サイトやパンフレットなどの紙媒体でも同様です。

Created Date
2023-12-06
Modified Date
2023-12-06

撮影する写真のリストを準備する(下準備)

 ホームページ用写真の写真撮影のタイミングはカメラマンに依頼する場合も、社内で撮影する場合も共通です。

 社長交代などに伴い、ホームページの一部の写真だけを入れ替える場合や、サイト自体をリニューアルしたり新しく作成する場合、もしくは求人のポータルサイトや、グルメ系のポータルサイト、ホテルの予約サイトなどに掲載をするなどといったケースが多いかと思います。あらゆるケースにおいて、まずは事前に「どのページ(どのコンテンツ)に」「どのような写真が」必要かといった撮影する写真をまとめた撮影を希望する写真のリストを準備します。このリストのことをカメラマンは「カットリスト」と呼ぶことが多いです。

 リニューアルや新しくサイトを制作している場合、サイトのワイヤーフレームやカンプデザインといったページ構成がはっきり決まった段階で、カットリストの準備をすることが大切です。ワイヤーフレームやカンプデザインはサイトの制作会社やデザイナーさんに問い合わせていただけると、準備してもらえます。

 私たちが写真撮影の相談を受ける際、まれに「たくさん写真を撮影して、いい写真をホームページに配置したい」といったご相談を受けることもあります。しかし、その方法は全くおすすめしません。

 カメラマンは撮影中は一枚一枚集中して、もしくは被写体を盛り上げながら撮影しています。実は思ったよりエネルギーを必要とする作業です。

 それが「使われるかどうかわからないけどまずは量産してほしい。(同じ被写体を)右からも撮って欲しいし、左からも撮ってほしい。同じ構図で撮影する人数を変えたパターンで3人分撮影してほしい」といったオーダーだった場合、多くのカメラマンはそれらのカット全てにずっと集中して撮影することが難しいでしょう。そもそも先述のような依頼の場合、通常であれば決まった1カットの撮影となりますが、一つのシチュエーションで、(左右)2カット×3人分となり、1カットのはずが6カットとなり、撮影する枚数を始め、撮影に必要な時間もかなり増えるわけです。その上、撮影した配位者の使用しない「無駄カット」を量産してしまいます。

 仕事で撮影をしている以上、カメラマンは依頼者のために良い写真を撮影したいと思っています。だからこそ、事前にある程度必要なカットを決めて、求められている写真を撮影現場でスムーズにすすめることが良い写真、良いホームページを完成させるための近道だと考えています。

ホームページ用の写真を内製する場合

 写真素材の撮影を内製することのメリットとしては、外注コストが掛からないことと、柔軟に再撮影ができることでしょう。デメリットとしては、やはりプロカメラマンに比べてしまうとクオリティ面で劣ってしまいますが、例えばサイト内に小さく掲載する写真は車内のスマートフォンで撮影するというケースも多くみられます。

最新のスマートフォンを使用して撮影する

 撮影機材やない場合や、そもそも一眼レフカメラや一眼カメラ(ミラーレスカメラ)の使用方法に明るくない場合、スマートフォンでの撮影をおすすめします。特に光量の少ない室内では、照明無しで一昔前の一眼レフカメラを使用して撮影するよりも、最新のスマートフォンのほうがきれいに写るケースは多いです。

 ただ、スマートフォンでの撮影の場合、保存される写真の画素数が少なめに設定されている場合もありますので、サイトのメインビジュアル等大きく掲載をする可能性がある場合には、設定で最大の画素数で撮影をすることをおすすめします。

広角・標準・望遠を意識して撮影する

 スマートフォンの機種によっては広角・標準・望遠用でレンズを複数搭載しているものもあります。撮影時には例えばオフィスの内観を撮影する場合には広角モードにしたり、人物を撮影する場合には被写体から離れて、ズームで撮影することで、よりプロっぽい写真に仕上がります。

窓際など明るい場所で撮影する

明るい窓際で撮影すると、写真全体の印象が明るくなる(※この写真は一眼レフカメラと照明を使用して撮影しています)


 写真をきれいに撮影する大きな要素は、光の量です。プロカメラマンでない限り、ストロボなどでライティングをすることは難しいかと思います。その場合、屋外の公園などで撮影をしてみたり、オフィス内だと窓際で撮影をすることおおすすめします。また、窓際で逆光となってしまう場合には札得する角度を変えるなどしてみてください。

ホームページ用写真でよく撮影するカットと注意点

我々プロのカメラマンがホームページ用写真の撮影でよく撮影しているシチュエーションとシチュエーションごとの注意点を紹介します。

オフィス外観

オフィス・建物外観の撮影

撮影許可を取る

オフィスの外観写真を撮影する際、事前に建物側の許可が必要になる場合があります。また、一部では建物の撮影自体が禁止というビルもありますので事前に確認をいただくことをおすすめします。

オフィス内観

オフィス内観の撮影

撮影場所を決定する

撮影する部屋を事前にリストアップします。

撮影場所片付け

撮影前に不要なものを片付けます。例えば、テーブルの上や椅子にかかったジャケット、ゴミ箱・消化器、他にも個人情報が記載された書類やキャラクターのフィギュアやポスター、自社のものであっても契約上使用期限が定められている広告物なども無用なトラブルを回避するために一時的に片付けていただくことをおすすめします。

有人で撮影する場合には、映り込む人を事前に確定する

内観写真は主に無人で撮影することが多いのですが、人が入ったパターンの撮影ももちろん可能です。有人の内観写真が必要かどうかも事前に確認しておきましょう。

代表者や役員・役職者の方のプロフィール写真

代表者や役員・役職者の方のプロフィール写真の撮影時

背景・シーンを決める

プロフィール写真を撮影する部屋や背景を決めておきます。
窓ガラス背景の場合、照明を使用しない場合逆光となり被写体が黒く潰れてしまったり背景が明るく飛びすぎてしまうことがあるので注意しましょう。(プロに依頼する場合には心配無用です)
主に撮影されるシーンとしては

  • 白背景(背景紙)前
  • 椅子に座っているシーン
  • 会社ロゴ前

これらのケースが多いです。

髪の乱れ・ネクタイや服装のチェック

撮影前に髪型やネクタイ・服装の乱れがない確認しておきましょう。鏡が撮影現場にあるとスムーズです。

働いている様子

働いている様子の撮影

撮影場所を決める

どの場所で撮影するか事前に確認をしておきましょう。

シチュエーションの確認

撮影する場所ごとにどのようなシチュエーションで撮影するか事前に決めておきます。例えば、

  • 営業職がオフィスの外で携帯電話を手に取り営業電話をしている様子
  • オフィスの休憩室で同じ部署の3人が雑談をしている様子
  • 窓際の席でノートパソコンで作業をしている様子

といった形です。

被写体を決めておく

撮影場所・シチュエーションごとに誰が被写体として登場するかを事前に決めておき、モデルとなる方にもその旨を事前に通知しておきます。

小物の準備をする

撮影時にタブレットやノートパソコン、マグカップやノートとペンなどを使用することがあります。撮影時に使用する可能性がある場合、事前に準備しておきましょう。

インタビュー写真

インタビュー風景の撮影

背景を決めておく

撮影する部屋や背景を決めておきます。

インタビュアー役を決める

インタビュー写真の撮影では、「お客様の声」といった取材形式のものを除き、実は撮影時には実際にインタビューをしていないケースも多いです。
理由としては、撮影時間の関係です。実際にインタビューをする場合、30分から1時間弱必要となる場合が多いですが、「インタビューをしているフリ」の撮影であれば、一人あたり10〜15分程度で完了します。

「フリ」の撮影の場合も実際のインタビューと同じように、フレーム外でインタビュアー役の方がおり、雑談をしています。そのため、インタビュアーを事前に決めておきましょう。

ホームページ写真撮影のスキルがあるカメラマンを見分けるコツ

 ホームページ用の写真撮影で求められるカメラマンのスキルとしては主に以下の通りです。

  • ライティングをして人物写真を撮影する(暗い室内でも光を作り、明るく撮影したりイメージに近い写真に近づける技術)
  • オフィスの内観・外観写真(建築写真)を広くきれいに撮影するスキル

 その他、撮影現場で被写体に指示を出したりなど、簡単なディレクションスキルも必要とされます。このようなカメラマンを探すためには、そのカメラマンが過去撮影した写真作品(主に人物写真や建築写真)を確認して、ホームページのイメージに近いかどうか、撮影料金が予算内かを確認すると良いでしょう。

撮影料金の相場

 カメラマンの撮影料金は正直ピンキリです。


 例えばビジネス撮影を専門とするカメラマン事務所であるdeltaphotoでは、カメラマンの拘束時間と撮影場所までの距離で見積もりしており、税込・交通費込みで5.5万円(4時間以内拘束の場合)です。


 そのほか、フリーカメラマンの場合は撮影内容から拘束時間、撮影場所までの距離で料金が決まっており、概ねホームページ用の撮影ですとミニマム3万〜6万円からスタートし、丸一日の撮影だと20万円程度になることもあります。

 こちらに関してはカメラマンによって考え方や計算方法が違いますので、実際に見積もりを取ることをお勧めします。

プロカメラマンに依頼する利点

 一眼カメラが普及したことで、アマチュアカメラマンや副業で休日に撮影の仕事をする副業カメラマンが増えてきました。コストではプロはアマチュアに勝てることはできないのですが、写真撮影を生業として日常的に撮影を行うプロカメラマンだからこその安心感はあります。

  • ディレクション力
  • 撮影技術
  • ライティング技術(照明を使用し、光を作る力)
  • 撮影用機材(カメラボディ・レンズ・照明・機材故障時の予備機等)
  • テザー撮影(撮影した写真をノートパソコンやタブレットに送信し、撮影した写真を依頼者が確認でいるようにする撮影方法)

 これらの点に加え、プロカメラマンですと日常的に撮影をしているため、「このようなケースの場合にはこう撮影する」といった「引き出し」が多くあります。

 もちろん、それぞれのカメラマンによるので、あくまでも一例ではありますが、参考になりますと幸いです。